東大寺二月堂・三月堂と興福寺国宝館へ




 昨日来の雨も止みお天気が持ち直したのを幸い、11時頃、思い立って奈良へ出掛けることにした。連れ合いは週末出勤の代休。5月並に気温が上がり、セーターを着てきたことが悔やまれるほどの暖かい一日である。


 まずは県庁に立ち寄り、6階の職員互助会食堂で腹ごしらえ。大和肉鶏の親子丼は売り切れだったが、ヤマトポークのカツサンドとお茶、しめて650円で満足。一路東大寺の上院、二月堂と法華堂(三月堂)を目指す。


 二月堂では3月1日から修二会の本行が始まっている。お堂に上がると声明が聞こえ、勤行の最中だった。写真下、勤行を終えて参籠宿所へと向かう練行衆。左右に立てかけられているのはお松明。





 この階段下の建物では、餅搗きが行われていた。その下の写真は二月堂茶所、参拝者のための休憩所で、釜に湯が沸き、石油ストーブには火が入れられている。修二会についての説明なども掲示されていた。




 二月堂全景。

 


 そして隣のお堂こそ本日の主目的のひとつ、国宝・重文の仏像がひしめく法華堂(三月堂)である。
 ここは須弥壇の傷みが激しく、本年5月18日から修復が始まると同時に7月末日まで拝観が停止される。8月からは7体のみが礼堂からガラス越しに展観される形となり(他の9体は修理)、さらに2011年10月以降は4体が現在建造中の「東大寺総合文化センター」に移される予定。現在のように狭い空間に16体が揃って拝観できるのもあと僅かだ。国宝や重文が寿司詰め状態のこの特異な空間を、是非今のうちに、と観に来たのだった。
 存分に法華堂内部の“立体曼荼羅”と対峙。下山して大仏を拝むと、次なる目的地、興福寺へと向かった。


 こちらでは3月1日に国宝館がリニューアルオープン。巡回展を終えた阿修羅像などを、ガラスなしの展示で拝観することができる。ここも国宝・重文てんこ盛り、仏像ファンには垂涎の宝物館だ。東大寺同様、天平の頃にまで遡る美しい仏像の数々を間近に見ることができ、まさに奈良まで来た甲斐があったというもの。
 しかし、国宝館にはひと言、苦言を呈さねばなるまい。展示室から次の展示室への通路が狭いのだ。全般に大勢の人を受け入れることを念頭に置いた設計になっていない感は否めない。小ぢんまりしていてとても良い宝物館なのだけれど……。
 国宝館を後にし、東金堂へ。ここも国宝級の仏像がギュウギュウに並べられている。奈良、凄すぎる……。


 そろそろ疲れも見えてきたので、奈良ホテルでちょっと休憩。贅沢をしてプレミアムセットを頼み、ケーキにシャンパンをいただく。ケーキセットと200円しか違わなかったので気軽に頼んだのだが、このラウンジではサービス料が別途掛かることを忘れていた……。ま、お昼は県庁で安価で済ませたので、と自分に言い訳。


 わざわざホテルに立ち寄ったのには訳がある。ここのショップに、昨年、気に留めながら二の足を踏んだ赤膚焼の旅茶碗があるのだ。ホテル価格よりは街で見繕った方が安かろうと探したものの、結局ホテルにあったものほど端正な絵付けのものを見つけられなかったという“いわく付き”の一品。今日はちょうど窯出しの後だったのか、同じタイプがいくつも入荷していて、気に入ったものを選ぶことができた。1年越しの念願叶って私は両手にすっぽり入るくらいの可愛い旅茶碗を、連れ合いはこれまた前回売り切れだった松の実ケーキを購入、それぞれに満足して家路に着いたのだった。
 この茶碗、大塩正人氏の作。実は今回、近鉄奈良駅の斜向かいにある商工観光館1階の「きてみてならSHOP」に、ホテルと同価格で並んでいるのを発見。ホテルまで行かなくてもここにあった……。「きてみてならSHOP」侮れません。。


 夕食用に柿の葉寿司を買って、帰宅したのが19時半頃。半日でこれだけ廻って来られるわけだ。近鉄特急で京都⇔奈良間は30分ほど。帰路は急行を利用したが、それでも50分程度だ。東京駅から国立に帰るくらいと思えば近いもの。奈良にはまだまだ未踏の地や、再び訪れたい場所がたくさんある。広大なエリアなので方面を絞り、数年掛けて巡ることができればいいな、と思っている。


 今日、万歩計は16,000歩強を記録――道理で腰に来たわけだ。明日、明後日と連れ合いは出勤。前倒しの休日、良いお天気に恵まれて本当に良かった。