西陣の名店、居酒屋「神馬」へ



 西陣には旦那衆が行きつけにしたという名店が数多く残っている。そのひとつ居酒屋の「神馬」を訪ねた。千本通中立売下る、うちからだと歩いて7分ほどである。


 間口は意外に狭い。小さな店かと思って暖簾をくぐると、中には思った以上に広い空間が広がっている。手前にコの字型のカウンター、何故か店の中程に掛かっている可愛い太鼓橋を渡ると、奥にもカウンターが一本。18時45分頃に店に着くと、既に空きは3席程で、ギリギリセーフといった按配。たまたま奥のカウンターが法事帰りの団体で埋まっていたこともあるが、ニュー万長といい、ここといい、評判の良い店は休日でも早出に限る。


 突き出しは、湯葉に雲丹と海老、彩りに輪切りのオクラをちょいと添えた小鉢と、小振りのコップに注がれた冷製コーンスープ。美味にして洒落ている。
 キスの天婦羅、賀茂茄子の田楽、小鮎の塩焼きは絶品。鳴り物入りの甘鯛のお造りはちと「?」だったが、トロの鉄火巻きと稲庭うどんで〆。ビール小1杯と燗酒2合で、しめて2人で9,000円ちょっとだった。
 メニューは豊富で高級食材もふんだんに入荷、魚から肉、京野菜と、旬のバラエティーに富んだ料理が楽しめるが、単価は高めだ。料理の類は安くて900円位、ほとんどが1,000円超えの価格設定。平均は1,100円というところか。注文する度に頭の中でレジが『チーン』と鳴るような庶民向けの店ではないのかもしれない。あるいは400円の「しんこ巻き」など、値が張らずあの空間でゆっくり酒を愉しめる“安価なツマミの頼み方”のコツがあるのかも。。


 外は生憎の雨ながら、美味しい料理と酒とで、ふんわり良い心地になって帰宅した。確かに音に聞こえた名店だけのことはある。度々出掛けて常連の仲間入りをしたいところだが、頭の中で『チーン』の部類としては、まあせいぜいボーナスが出た時くらいかな。。