花盛り



 ジャカランダが花盛りだ。和名を紫雲木という。名の通り、雲が棚引くようなふわりとした紫の花々が心を和ませる。もともと南米原産のこの木は、今やアジア・オセアニアをはじめとして世界各国で見ることができる。植民地政策の広がりと共に、海外の領地に好んで移植されたことによる。


 ジャカランダに限らず、ブラジルには花の咲く街路樹が多い。それも赤、黄色、紫、ピンク……色とりどりの花が町を彩る。とりわけ、夏へと移行するこの時期には見事だ。街路樹としては不向きと言われるマメ科の木は、大風が吹くと簡単に根っこから倒れて交通渋滞の原因になったりする困り者だが、鮮やかな花が楽しめるのは悪くない。
 少し早起きをして散歩に出ると、ハチドリが飛んでいるのに出くわしたりもする。コーヒーの花が微かに放つ芳香も爽やかに、今ようやく春めいた一日が始まろうとしている。