選挙と泥棒対策


 週末の選挙では、現職のルーラが過半数を獲得できず、決選投票に縺れ込むことになった。ルーラというのは通称で、本名はルイズ・イナッシオ・ダ・シウヴァという。ファーストネームのルイズ・イナッシオと、ファミリーネームのダ・シウヴァの間に通称のルーラを入れて、芸名ならぬ政治家名にしているそうだ。
 対立候補はアウキミン。アラブ系移民で、薬学を修め、麻酔医の資格も持っているインテリだ。小学校しか出ていないルーラとは対照的で、知識層の支持は大きい。前サンパウロ州知事として政治手腕を発揮したものの、PCC(犯罪組織「首都第一コマンド」)を抑えることはできなかった。

 
 下馬評ではルーラの圧倒的優勢が伝えられていたものの、あまたの選挙違反が発覚。蓋を開けてみればアウキミンが41%を超える得票で、猛烈な追い上げを見せた。ノルチ(北部)・ノルデスチ(北東部)の貧困層を中心に人気の高いルーラに対して、中部・南部はアウキミン支持に傾いている。


 決選投票の今月29日には、再びアルコール販売は禁止、そして週末にはまたしても『犯罪野放し』状態になる。


 そんな話に始まったアウラは、次にラドロン(窃盗・強盗犯)からいかにして身を守るか、という話に移った。
 サンパウロには多くの日系人が暮らしている。その日系ブラジル人と私とは、一見して明らかに違うのか? と問うてみたら、ボディランゲージが違うのだろう、と言われた。私は背筋を伸ばして“楚々”としている(と先生は言うのだ。)が、日系ブラジル人は“ダラ〜ッ”としているのだ、という。それならそんな風にダラッとしていたら私も日系ブラジル人に見えて襲われにくくなるだろう、とやって見せたら、大笑いされた。『そうしていてすらナイーブ! 何をどうやっても「あなたはあなた」よ。。』だって。“3つ子の魂100までも”かなぁ。アイデンティティが揺るがない、というのなら、それはそれでいいんだけど、少し悪ぶってみたりフェイクする楽しみも、あっていいような気もする今日この頃。。