風花舞い、時雨(しぐ)れる町で


 天気の良い日、夕焼けの時分になると、比叡山が赤く染まる。赤富士ならぬ「赤比叡」である。ピンク色に輝く峰が暮れなずむ町並みに一際映え、えも言われぬ美しさだ。
 冬場になると山際は雲間に隠れることが多い。そして山に掛かる雪雲のいたずらか、町中にあってもしばしば風花が舞い、時に激しく時雨れる。それもほんのひとときのこと、気付けばまたお天道様が輝いている、という塩梅である。


 「時雨」というのは冬の季語――だから茶掛けなどで笠を被っている画賛なんかを、例えば梅雨時に使うのは間違いなのだそうだ。
 「時雨れる」というのを、改めて実感している今日この頃である。東京でも風花は舞うし、時に時雨もするが、それが“冬の常態”というわけではない。しかしここ京都盆地にあっては、『冬は時雨れるもの』らしい。


 幸い、底冷えする京都の寒さも、マンションの東南の角部屋だと充分に陽が射し込み、日中は暖房が要らない(その代わり、夏場は“よしず”が必需品かも……)。それでも部屋でじっとしていると寒さが襲ってくるので、なるべく外出するようにしている。バスの中も店の中もダウンのコートでは汗ばむくらい温かいし、歩いていれば手先・足先まで温まる。その辺りは同じ“寒い”といっても北の地方とは違うところだろう。
 京都の人によれば、このくらいの寒さが2月一杯まで続く、とのこと。お腹に力を入れて、春の訪れを待つとしよう。。