みつばちと承天閣美術館


 お昼過ぎまで穏やかな天気に恵まれ、気温が上がった。手袋・マフラーは不要、タートルネックのセーターにカーディガンを重ね着してコートを羽織っていたのだが、バス停に着いた時点で既に汗ばむほどの暖かさで、カーディガンを脱いでしまった。
 今日のお散歩コースは御所周辺。バスで河原町今出川まで行き、まずは甘味処の『みつばち』へ。日曜が休みのため、何度も前を通りながら未踏破だったところ。実は行ってみて分かったのだが、今回も危ういところだった。年末年始の休業が明日から。ギリギリセーフでようやくこだわりのあんみつに舌鼓を打つことができた。千葉県産の天草に波照間島の黒砂糖、北海道産の小豆と、素材を選んで作られたあんみつは優しい味わい。連れ合いが頼んだ焼き餅入りぜんざいも程良い甘さで品よく仕上げてあった。



 みつばちから少し下がって河原町通りを渡り、西へ向かって御所の北東寄りの門「石薬師御門」を入る。広々した庭内をぶらぶらと散策し、北へ出て同志社の間を抜け、相国寺へ。『茶席の禅語集』などの著作でもお馴染みの禅僧、有馬頼底さんが管長を務めておられる寺だ。
 塔頭の一つ、養源院の俵屋宗達による有名な象の絵は拝観できなかったが、この寺の一角にある「承天閣美術館」は一見の価値ある品ぞろえだった。足利義満が開基し、金閣銀閣を山外塔頭として擁する相国寺ならではの、足利将軍家所縁の品々や後世の名物が並び、茶道具やふんだんに飾られた伊藤若冲の絵が印象深かった。美術館自体も小ぢんまりと見やすく、展示室を隔てる回廊に沿って禅寺らしい庭園が配され(大徳寺聚光院にある利休の墓にあるのと同型の石塔も見ることができる)、実に居心地の良い空間だった。
 寺の敷地内には、有名な「宗旦狐」の故事に由来する宗旦稲荷もあり、さまざまな歴史物語を楽しんで1日を終えた。