烏丸通りを歩く


 朝曇り、午後になって晴れ間が広がる。今日は烏丸通りを今出川から四条まで歩いて下ることに。
 しばらく南下すると右手に菓子の老舗、虎屋の一条店があり、その脇を西にちょっと入ると『虎屋菓寮』という喫茶がある。ここは静かでサービスも良く、とても落ち着ける店だ。店内には京都や菓子を巡る書籍が多数集められ、自由に見ることができる。ギャラリースペースも併設されていて、虎屋と所縁の富岡鉄斎の絵や、千家十職の手になる道具などが展示されていた。昨日に引き続いて、ここでもあんみつをいただく。添えられた求肥やカラフルな寒天に、菓子屋としての技量と自信の程を窺わせる一碗だった。




 烏丸通りの御所の左辺には、大きな観光資源こそ少ないものの、種々の施設が建ち並んでいる。KBS京都のテレビ局あり、平安女学院大学の学校あり、能楽堂もあれば府立のホールもある。中程には和気清麻呂所縁の護王神社があり、清麻呂道鏡によって宇佐に配流された際、たくさんの猪に守られて難を逃れたとの故事に因んだ猪のコレクションが見られたり、菅原道真の産湯に使われたという井戸の跡が残されている菅原院天満宮もある。教会その他、キリスト教関係の施設もあり、丸太町交差点のすぐ上手には大丸ヴィラというチューダー様式の美しい洋館があったりもする。ここは名前の示す通り、大丸のかつての社長の館で、中の調度共々、京都市登録有形文化財に指定されているとか。
 そんなあれこれを興味深く眺めつつ、見つけたのがこちらの店舗兼休憩所。はりま焼きなどのおかきで知られる播磨屋が運営している『播磨屋ステーション』だ。コーヒー・オレンジジュース・日本茶などのドリンクと、各種おかきが無料で提供されている。目的は、おかきの普及と環境問題の啓蒙だそうで、丸太町通りからは少し上がったところにあるにもかかわらず結構な人で賑わっていた。




 丸太町通りを越えて南下し、六角を東に入って六角堂に立ち寄る。街中にありながら、ゆっくり参拝したことが無かったのだが、ここもまたなかなか立派で印象深い寺である。聖徳太子の開基と伝わる古い寺で、親鸞上人が参籠したとされ、桓武天皇に因んだ「へそ石」というのがお堂前にあったり、またここで行われてきた供花がいけばなの発祥として知られていると聞く。


 ここから東洞院を下がり、大丸に立ち寄って帰宅。随分歩いた気がしたのだが、連れ合いの万歩計の数字はは5,000歩にも満たなかった。1日1万歩歩くのは結構大変なようだ。