十日戎の残り福



 祇園のゑびす神社では1月8日から12日までの期間、ゑびす大祭が行われる。四条から神社までの大和大路沿いには露店が軒を並べ、大勢の参拝客がさんざめいている。鳥居前からはぎっしりの人で、なかなか前に進まない。
 御社向かって左手に社務所が設けられており、福笹や熊手をいただく人で賑わっている。参拝客は手に手に持参した昨年の福笹を返納し、新しい笹をいただいて帰る。社務所の手前では祇園の舞妓さんが福笹を手渡してくれる趣向がカメラの放列を呼び、大層な人だかりだ。こちらで福笹をいただいた人には“福餅進呈”とのこと。舞妓さんの後ろでは神棚に向かって巫女さんが笹を手に舞い、情緒がある。
 各地で行われる十日戎には、福笹の初穂料は気持ちで良いところや、笹は無料で飾り物に初穂料がいるところなどもあるようだが、こちらの福笹は3,000円とのこと。
 境内は大層混雑するので、一方通行になっており、参拝が終わると左手の社務所の前を抜けて裏の通りへ出る。私たちはこの後、ぶらぶらと散歩がてら建仁寺へ。俵屋宗達風神雷神図屏風(国宝)で知られる寺だ。ちょうど冬の特別拝観中だったこともあり、ゆっくりと参拝する。秀吉の催した北野大茶会の際に建てられ、移築されたと伝わる茶室「東陽坊」があり、うっかり観そびれてしまったけれど、その西側に「建仁寺垣」が設えてあるそうだ。


 この日はかねてから気になっていたフレンチのレストランで夕食。北野天満宮東門出てすぐのところに昨夏オープンした、席数10の小さな店「ラシーヌ」だ。店内は小ぢんまりと落ち着きが良く、もうリピーターや常連も着いている様子。予約して出掛けたのは正解で、私たちが出向いた時には既に満席だった。
 コースでも前菜・メイン・デザートorチーズをメニューから自由に選べるため、アラカルトよりコストパフォーマンスの良いコースがお勧め。肉か魚どちらか一品でよければ3,500円だ。また、パンとバターが美味しいところもポイント高し。ハーフボトルのシャンパンは最低でも5,000円と料理に対して高めの料金設定だが、グラスワインは500円で、2種類ある赤のうちどっしりした方はなかなか美味だった。


 年末から年明け、そしてこの3連休まではあわただしく過ぎて行ったけれど、これからいよいよ2010年も本格始動だ。経済も環境問題も社会も、そしてもちろん我が家も、良い方に向かってくれる年になって欲しいものだ。