天神市にてころ茶碗を買う



 昨日午前中、近畿地方を襲った驟雨は幸い大きな爪痕を残すことなく過ぎ、今日25日は穏やかな晴れになった。湿度も下がり、肌に当たる風が心地よい。散策にはうってつけの日和、天神市もまずまずの人出のようである。来月は夏越天神で、またひと際賑わうことだろう。


 今日のノルマは食パンとコーヒー豆を買うこと。パンは14時の焼き上がりを待たねばならないことが多く、豆は早い時間に出掛けないと売り切れてしまう。どうしようかと悩んだ末、取り敢えずパン屋に電話で確かめてみると、な〜んだ、まだあった。。早速予約確保して先にピックアップした後、いつものように天満宮の北門辺りに駐輪し、この時間にまだ豆が残っているか甚だ疑問に思いつつオオヤコーヒさんのブースへと向かう。ブースは植木市の一番奥に設置されているので、天神さんの一番南の端、表参道入り口の鳥居近くまで戻ってから植木エリアに入り込まなければならないのがちょっと厄介。覗いてみると、良かった、こちらもありました。中深炒りはもうこれが最後の一袋かな、深炒りはまだ数袋残っていた。


 必要なものを購入してしまうと気が楽になり、ぶらぶらと市を眺めて回った。今日は割合出物が多かったようだ。雲鶴の良い小皿があったのだが、手持ちのものと用途が被るのでグッと我慢。。変わり菱型と言ったらいいかな、小振りで向鉢に良さそうな深鉢の5個揃えが半額の1万円というので気を惹かれたが、やや甘かったのと、収納に場所を取られること、何より茶懐石風にお敷にお向をセットしてお客様をもてなす機会ももはやなかろうとの判断で、こちらもスルー。唯一、ふっ切れなかったのが「ころ茶碗」だった。


 パン屋に向かう途上、自転車を押しながら目を止め、コーヒーを買いに戻る道すがらまた眺め、ひと渡り市を見終わって帰る途中でもう一度手に取り……都合3度見入った。染め付けで、兎と亀があしらわれ、猪口よりは大きく、普通の汲み出し茶碗よりは小さい。手に馴染む大きさで、寛いだシーンでゆったりと酒を嗜むのに良さそうだ。「ころ茶碗」という名も愛らしい。結局表示価格から3割程引いてもらい、連れて帰ることにした。


 骨董も器も、「もういいや」とほぼ満足したはずだったけれど、足を運べばまた出会いがある。それで良いのだろう。まだまだ知らないことがたくさんあり、新たな発見がある。その奥深さがあればこそ、いつまでも飽きることなく骨董市巡りを愉しめるのだから……。