アンティーク蚤の市〜ショッペリアでひと息




 久しぶりに夫婦共々フリーの土曜。午前中はゆっくり過ごし、ホットケーキで朝食を済ませたあと散髪に出掛けた主人の帰宅を待って、私たちはしばらくぶりにお定まりの“土曜コース”に足を向けることにした。
 アンティークの好きな私は、週末に開かれる蚤の市がお気に入りだ。土曜はピニェイロスの市、日曜はトレイゼ・ジ・マイオのイタリア人街の市、さらには余裕があればMASP(サンパウロ美術館、四隅の柱で支えられた建物は1階部分が広場みたいになっていて、ここでアンティーク市が開かれる)に回ることもある。いずれも会場のプラッサの周囲にはランショネッチ(食堂)やレストラン、バールなどがいくつもあり、一通り店を冷やかした後は冷えたショッピ(生ビール)で一服するのが楽しみだ。


 今日はピニェイロスのプラッサ・ベネジット・カリスト(Praça Benedito Calixto)の市の日だ。ここは私たちが初めて出掛けた蚤の市でもある。中央に緑地のある細長いプラッサの周囲ぐるりと、入り口に当たるテオドロ・サンパイオ通り沿いに数多くの露店が並ぶ。ここの魅力は幅広い品揃えと開放感、かな。高くても高級品がお好みの向きにはMASPだが、銀器など、日常雑器の掘り出し物を探したい向きにはここか、コンパクトに回れて品揃えも豊富なトレイゼ・ジ・マイオだ。

 お天気は上々。肌や目に刺さるほどの陽射しでもなく、ホンワカした暖かさが心地よい。時折春らしい風がふわりと身を包み、深呼吸したくなる気持ち良さだった。私は即決でソース用のレードルを5000円ほどで購入。“矯めつ眇めつ”した挙句、“よしっ!”と交渉に入るべく顔を上げたら、な〜んだ店主はトレイゼ・ジ・マイオでもお馴染みのおじさんだった。このおじさん、安くはないけど、ときどきいい物を置いてる。その顔見たとたん納得して、大して交渉もしないでそのままお買い上げ。。(敵の術中にまんまと嵌る。140へアイスの値札を見て100が落とし所か、と内心計算している最中に「100で」と向こうから言われたら、二の句が接げなかった……。)滅多に買い物しない主人も、珍しくガラスボトルを買った。小ぶりなクリスタルで、『Cognac』と書かれたボトルアクセサリー付き。(普通よく見かけるネックレスタイプじゃなくてチョーカータイプ。)

 二人とも釣果に満足して“それじゃビールでも。。”といつもの店の前まで行ったものの、あまりの人の多さに辟易して退散。予定変更で、ビラ・マリアーナのショッペリア(ショッピを楽しむ店、ビアホールみたいな所)に行ってみることにした。


 時刻は4時半、ランチの続きにしては遅く夜の営業はまだ、というビミョーに中途半端な時間だ。この店、私は平日の夜に1度来ただけの店だったから、週末の営業時間が分からずちょっと不安だったけど、心配無用だった。折り良くボサノバの生演奏もしていて、ショッピとサンドイッチでホッとひと息つく。「ボク風邪気味だし、今日はビールいいや。おうちへ帰ろうよ〜」と言っていた主人も、食べてみたら実はお腹がすいて喉も渇いていたと気付いた模様。二人ともすっかり満足して帰路についた(だから帰りは私の運転、ね)。


  ◆Praça Benedito Calixto
   アベニーダ・ブラジルでピニェイロスに入り、
   ヘボーサスを過ぎて2つめの交差点を右折、少し上がった左側。
   (この道、テオドロ・サンパイオの下手は、家具屋通りとして有名。)
   Praçaの周回路を一番奥まで行って回り込むと、
   10へアイスとちょっと割高ながら、駐車サービスあり。ここなら必ず入れられる。
   
  ◆ショッペリア 『Genuíno』
   Rua Joaquim Távora 1217  ℡:5083−4040
   位置的にはパライゾの隣のエリア。
   トトイアを周り込んで上がった所だけど、コントラ・マウン。
   上からなら、サントス→クバトンをずっと突き当たりまで行き、
   一本上手のドミンゴス・ジ・モライスからジョアキン・タヴォイアへ。