古都リスボンを訪ねて①



 主人が1週間のボリビア出張に出掛けるのに合わせて、ポルトガルを覗いてくることにした。久しぶりのヨーロッパ。北半球、西側先進国の一端に戻ると思っただけで、何となくホッとする。。ところが……!! 今回の旅、どういう巡り合わせか困難の連続! “苦難を乗り越えて”“七転び八起き”“打たれても打たれても”とでもタイトルを付けたくなるような塩梅で、いやはやさすがの私も『こりゃ何か身辺を見返らなけりゃならない、という天からのメッセージかしらん??』と首を傾げた次第。でも、トラブルはいずれも教訓の裏返し! 思い付くままに語りながら、「この轍を踏まないよう」(!)ご参考までに旅の情報のあれこれ、そして数多の困難にもめげずに十二分に楽しんだ旅の模様を、アップしたいと思う。



外貨購入時にドクメントは見せないこと!

 旅は出だしから波乱含みだった。チェックインに手間取り、残り時間僅少の中、換金所でユーロを買おうとしたらCPF(納税者番号)の提示を求められた。今までそんなことあったかしら? パスポートを見せるだけでOKじゃなかった? ともあれ、安全を期してブラジル国内で使用する書類の類は置いてきていたので、結局ユーロを買えないまま出立せざるを得なかった。後で連れ合いに言われて気付いたのだけれど、旅行者であれば当然パスポートだけで購入できたはず。うっかりポルトゲースでぺらぺらとしゃべり、しかも慌ててドクメント(在留身分証明書)を見せたりしたものだから、持ち出し禁止通貨であるブラジルヘアルを外貨に換えるに当たってCPFの提示が必要になった、というわけだ。
 しかし、こんなことでメゲてはいられない! 最悪シティバンクで現地通貨を引き出せるので、ここはひとつ心を落ち着けて機上の人となった。


 営業妨害するつもりはないけど、TAP(ポルトガル航空)、あんまり勧められません!! 機体はA340で通路は悲しいほど狭いし、帰路などエコノミー用の片側4つのトイレのうち2つが故障。キャビンアテンダントはお世辞にもサービスが良いとは言えず、飲み物のサービスも最低限。JALなどで最近配られるペットボトルの水もなく、“エコノミー症候群を起こすやつは勝手に死になさい”と言わんばかりだ。エコノミーの客なんて“載せてやってる”という感覚としか思えない。荷物を押し込むのに客の座る座面に靴も脱がずに上がったのは、一体どういう訳?? 理由があるなら教えて!!


 気を落ち着けて。。さて無事にリスボンの空港に着いたら、今度は荷物が出てこない。とうとうロストバゲージの憂き目にあったか、と、バゲージクレームの番号札を取り、順番を待っていたら……出てきました。
 ホテルの送迎サービスの出迎えは、実に感じの良い紳士。何はともあれ、シティバンクのキャッシュディスペンサーに連れて行ってもらおうと尋ねたら――ポルトガルにはシティバンクがないのだそうだ(企業顧客向けサービスのみらしい)。それならホテルでクレジットカードで出金してもらうか……とあれこれ相談してみたものの、それでは100ユーロ程度しか入手できないことが分かり、結局クレジットカードのキャッシングを使うほかなさそう、という結論に至る。そしてその際必要な暗証番号はサンパウロの家の抽斗の中だ。


 慌てずに。。時差4時間(ポルトガルはまだ夏時間のため)を鑑みて、3時間ほど待ち、主人が起床するのを見計らって電話する。ボリビアへの出発が私より二日ほど後で本当に良かった! そんなわけでホテルから歩いて10分ほどの銀行のキャッシュディスペンサーで、無事にユーロ、引き出せました。


日曜・月曜は要注意!

 外国で日本と大きく違うことのひとつが、日曜は基本的に商店は休み、ということだ。観光地ですら例外でなく、カフェやレストラン、大規模なショッピングセンターくらいは開いているものの、道のロージャ(店舗)はまず皆、閉まっている。だから町歩きもそのつもりで計画しないと、かなり素っ気無いものになる。そして月曜は美術館・博物館・史跡などの閉館日であることが多い。うっかりして月曜に遠方へのエクスカーションを企画してしまうと、何のために遥々出かけたか分からなくなるので要注意だ。
 リスボン初日は日曜日。だから気楽にあちこち歩いて、まずは町の様子を掴むことにした。それには市電に乗って旧市街の中心まで出なきゃならない。そして市電はモエダ(貨幣)じゃないと乗れない……。1回券をいちいち買わなくても、パスが発行されていることが分かっていたので、どこでこれが買えるかホテルで尋ねた。ユーロを引き出した銀行からさらに歩いて5分ほどの所に市電の停留所がある。その近くのキオスクで買えるだろう、と言われて行ってみたが、ここにはなかった。途方に呉れそうになってふと気付いた――以前主人がドイツに出張した際のユーロの残りを少し持って来ていたのだが、硬貨も幾枚かあったのだ!! 足りました、1回券、何とか。。ラッキー……と小さくつぶやいて、どうにか街中まで出ました。


 日曜でもやっている数少ない見所のひとつがサンタ・ジュスタのエレベータだ。街中のビルの間に忽然と設置された、古びた鉄筋のエレベータで、市街が一望できる絶好の展望台だ。好天に恵まれて、360度の展望が素晴らしい。彼方に汽水域テージョ川を望み、微かに海の香りを運んでくるような風が心地よい。



 


 本当ならここで回数券も買える筈だった、料金体系を教えてもくれなかった気短なねえちゃんに撃退されなければ……。パスは買ったものの、エレベータ昇降分だけチャージしてもらってひとまず退散。そして素晴らしい展望にひととき目を奪われ、ジュースで一息付いた後、メインの広場へ降り、ブラブラ歩いていたら――隣接している隣の広場で、見つけました、券売所!! こんな所にぽつんと。。便利なのに他では見かけなかった券売所、リスボンに行かれる向きには是非、頭の片隅にでも覚えておくと便利かも。フィゲイラ広場です。