カリブ海クルーズの旅③ コズメルへ



 クルーズ船は居住部分だけで13階建てほどになる。それに船倉部、喫水下があるわけだ。
 クルーズでは3度の食事をはじめとして、天気が良ければ上部デッキで日光浴をしたりジムで運動したり、様々なイベントに参加したり、と、部屋にジッとしている時間は少ない――だから窓の無い船中央部の船室でも充分、という考え方もある。実際窓の無い部屋、ある部屋、その窓が開く部屋、そして船室にデッキがある部屋、となるに従って料金も上がるわけだから、本当にアクティブに過ごすつもりなら窓なんか無くてもOKと言えなくも無い。ただ、デッキ付きなら部屋にいながらにして夜、星空を眺めたり、早朝の海風に吹かれたり、着岸時、離岸時には外を見物することもできる。
 年末年始やカーニバル時期など、どうしてもハイシーズンに旅行せざるを得ない駐在にとって、旅費は頭痛の種だ。その点、クルーズの旅は割安だ。オールインクルッシブで寄港地ではビーチ遊びも観光もでき、ホテル代・移動交通費が込み込みでの値段にしては手ごろといっても良い。
 だから、と言っては何だけど、ここで船室代をケチらなくても、むしろデッキ付きの部屋を楽しむのがお得、と見た。デッキ付きの船室は上層階にあり、スイートと並んで設置されている。その階に滞在する客同士、顔を合わせる事も多いし、またメインダイニングの席はクルーズ中ずっと同じで、相席になる客も同等のクラスの船室を取り合わせているようだ。そう考えれば、1週間ほどの旅の間ずっとセレブ気分が味わえるわけだから、ここはひとつ、ちょっとばかりの出費は惜しむべきではないでしょう。。

 
 というわけで、私達はデッキ付きの部屋をチョイスして、正解だったと思う。
 部屋は狭いながらも高級感のある内装に調えられ、シャワールームも小さいながら機能的。そもそもこの船、まだ竣工して3年という新造船だ。設備も最新、内装も小奇麗で、様々なアメニティも充実している。


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 船内の案内はまた後日に譲ろう。
 さて3日目のこの日は最初の寄港地メキシコのコズメルに上陸した。ダウンタウンにそのまま歩いて行ける距離のところにある埠頭に着岸するため、観光に便利な町だ。



 


 私達は近隣のビーチで半日過ごすプランのエクスカーションを選び、残った時間で街を散策して過ごした。
 寄港地でのエクスカーションの申し込みは、テレビのメニュー画面から、或いは専門のデスクに出向いて行う。人気の高いエクスカーションは満員になることもあるため、ニュースレターのチェックは早めに行い、初日のうちにある程度各寄港地での予定を組んでおいた方がよさそうだ。

 
 コズメルのビーチプラン、あんまりお勧めできません。だって、ビーチリゾートとして開発された場所はそう多くなく、狭い区画にいくつもの客船の乗客、そして似通ったプランの客が押し込まれる形になるため、芋洗い状態! ビーチチェアやパラソルなども、滞在型の歴史あるリゾートと同じようには行かないので、その辺は覚悟しておいた方がいいかも。
 何と言ってもカリブ海は北半球!! この時期、暑〜い日も暑〜い場所もあるとはいうものの、ひんやりする日や風の強いビーチでは肌寒いこともあるわけで、肌の強い欧米人は平気で海水浴していても、私達ひ弱な日本人にはいささか厳しいビーチではありました……。
 前年訪れた同じカリブのセントマーティンでは大層暑い毎日だったので、今年がたまたま涼しかったのかもしれないし、カリブでも西側と東側とでは天候に若干の差があることも考えられる。
 まあ、今回は「クルーズ」を楽しむ事が目的だから、ビーチはちょっと残念だったけど、良しとしますか。。



 街は土産物屋が軒を並べ、割合賑やか。埠頭に着く豪華客船の客を当てにした観光地として成り立っているようだった。目立ったのは宝石とカーペット。ブラジルに住んでいれば宝石を見る必要はあまりないし、カーペットと来た日には“なんでカリブでカーペット?!”でしょ? でも、客船でカリブ海を巡る人種の中にはチョー豪邸が自国にあって、こんな風に家族一緒に旅した先でインテリアのお気に入りを見つけては、思い出造り方々、家をエスニックなもので飾るのを楽しみにしている、という人々もいるらしい。現に船内オークションでは6万ドル、8万ドル(900万円!)といった絵画のセットも売れていたらしいから、私達庶民には理解しかねる世界なのだ。。

 


夕刻まで街を散策し、明かりの灯り始めた船に戻って、長かった一日、無事終了!