しまなみ海道から大三島、瀬戸大橋周遊!


 予報は一日曇り。雨の無いことを幸い、レンタカーでちょっと足を伸ばすことにした。今回の目的地は大三島。国宝の島と謳われる水軍ゆかりの地だ。伊予国一ノ宮として、平安貴族や名だたる戦国武将の戦勝祈願の地としても名を馳せる、大山祇神社で知られる。
 15年も20年も前になろうか、一人で旅した思い出がある。その頃は確か尾道から高速船に乗り、海を渡らなければ訪れることのできない遠い島だった。降り立った港からは路線バスに乗り、時刻表を気にしながらの駆け足旅だった。神社の風格に圧倒され、並み居る国宝の数々に驚愕したのを覚えている。あれから長い時間が経ち、今や島は「しまなみ海道」と呼ばれる連絡橋で本州とも四国とも結ばれている。



 岡山市街から早島のICで高速に乗り、尾道方面へ。分岐から芸予諸島を縦断する西瀬戸自動車道、通称「しまなみ海道」を一路大三島へ。(*ナビの情報が古くて、言うがままに車を走らせていたら、一度生口島で本線から降ろされちゃった! 今は全線開通しているので、直接大三島〜四国へ抜けられます。)向島因島生口島大三島と渡ってきて、大山祇神社に到着。懐かしい鳥居を潜り、今一度、連れ合いと二人で再びこの地を踏むことに感慨を覚える。
 正面の、樹齢1600年だったかの老楠が圧巻。神社裏手に回ると良くわかるが、この一帯には樹齢1000年を超える楠の古木が群生しており、国の特別天然記念物に指定されている。ものすごい巨木があちこちに鎮座していて、ここが特別な神域であると無言で知らしめているかのようだ。



 
 霊気に満ちた空気に包まれながら宝物館へ。しかし以前訪れたときですら決して新しくはなかった宝物館・国宝館そして海事博物館は、いずれも経年の衰え甚だしく、おどろおどろしいような雰囲気に包まれていた。かつては国宝の数々がずらっと並んでいたように記憶しているが、今回は重文ばかりが目に付いた。それでも平重盛源頼朝源義経武蔵坊弁慶などなどといった、馴染みの深い武将たちが奉納した武具甲冑の類が目を引く。
 それにしても、折角これだけの宝物がありながら、もう少し設備に手を入れられないものかとちょっと気がかりに。地方暮らしを始めて改めて気付いたことだけれど、今の日本、確かに中央と地方との格差が広がっているようだ。景勝地や全国区の有名観光地ですら、しばしば荒れた様子、寂れた風情が見受けられる。発展めざましい東京の新名所に足を運ぶと、ともすればこの国全体が着実に発展しているかのようなイリュージョンに捉われるが、一歩田舎に足を踏み入れると、とたんに厳しい現実を突きつけられる。


 宝物の持ち主たちが織り成した華々しい歴史の一幕に思いを馳せつつ、一方で役割を終えたかのようにひっそりと静まり返る伊予一宮の風情に心を残しながら、大山祇神社を後にした。門前には名物の鯛を使った料理を食べさせる店が何軒もあり、鯛ラーメンを食べてみてその美味しさにビックリ。焼いた切り身とネギだけでいただくラーメンはサッパリした醤油味で、久々に美味しいラーメンに出会った気がした。デザートの甘いものも美味。。


 既に3時近くなっていたので、ここからはひたすらドライブに徹することにして、「しまなみ海道」をそのまま四国方面へ。大島を経て今治に入った。ここでいったん高速を降り、市街を抜けて今治小松道路から松山自動車道高松自動車道へ。左に燧灘を見ながら車を走らせ、坂出から今度は瀬戸中央自動車道、通称瀬戸大橋を渡る。途中与島のパーキングで景色を楽しみつつ、本州側の児島へと戻ってきた。与島のパーキング、立ち寄る価値あり! 橋からぐるぐると下ってこなくてはならないけれど、眺望が開けていて、瀬戸大橋ウォッチングの絶好のロケーションだ。


 今回のドライブではあちこちのサービスエリアやパーキングエリアに立ち寄って、いろいろなお土産物を見て回った。瀬戸内をぐるっと一周してみると、どこも海の幸山の幸で一杯だ。じゃこ天などのおつまみ系や甘いものもたくさん。。最後に立ち寄ったパーキングで梅錦の純米もちゃっかり手に入れ、大満足の日帰りドライブの旅だった。