道後温泉、いい湯夢心地。。


 瀬戸大橋を擁する岡山は、四国への玄関口である。初めて四国を訪れた際、連絡船に乗った折に“さようなら宇高連絡船”というスタンプを押したカードを貰った覚えがある。その懐かしの宇高連絡船もすでに20年も昔の話。今は威容を誇る大橋が本州と四国との間を幾重にも結んでいる。先だって「しまなみ海道」で今治へ渡ったので、そのうち明石大橋を渡り、全橋制覇しようと目論んでいる。松山へは直通特急で約2時間半の行程だ。前日に台風が九州に上陸し、瀬戸大橋線は不通になっていたため、回復するかどうかが危ぶまれたが、幸い当日は朝から復旧して無事に出発。しかも台風一過、暑くなるのでは、との心配を他所に、大層涼しい、過ごしやすい一日となった。


 松山駅に着いて目に付いたのが、たくさんの赤い幟。砥部焼のイベントが、駅隣接の催し物場でちょうどこの土日に開催されるという。砥部の町にも足を伸ばそうかと話していた矢先のこと、早速覗いてみた。窯元直送の砥部焼の陶器類がずらりと並んでいた。ぐるっと一周してすっかり砥部を見た気分に。。


 


 今回の松山への旅、ことに1日目は大満足の充実振りだった。
 まず松山城の足元、ロープウェー街。この通りには古美術商がいくつもあり、しかもそれぞれなかなかの品揃えだ。微塵唐草の膾皿や染付けの絵皿、蕎麦猪口などなど、昨今では見つけるのが難しい程度の良い品がいろいろ並んでいた。ゆっくり目の保養をし、連れ合いは小振りの染付けの蕎麦猪口を、ぐい呑みに、とお買い上げ。良い記念の品になった。通りの中ほどにある、その名も「赤煉瓦」というしゃれたレンガ造りの喫茶で一休み。
 松山城も思いの他楽しめた。城自体は三層だが、城山が結構高く、松山市街が一望に見渡せる。それぞれの方角に何が見えるか地図と照らし合わせながら眺めて回った。
 

 


 そしてお待ちかねの道後温泉本館。以前は1階の神の湯に入ったように記憶していたので、今回は2階の霊の湯へ。風呂は小さかったが、折り良く空いていたのでゆっくり入れた。入れ違いに入ってきた人たちは洗い場が足りずに芋洗い状態。そして、何が気持ち良かったって、2階の休憩所を吹き渡る風の心地良いことといったら! 汗を浴衣に染ませながら、お茶とお菓子をいただき、窓の無い休憩所を抜けていく風に吹かれる幸せを存分に味わった。男性はそこで着替えるが、女性には奥に更衣室が用意されてる。廊下を仕切っただけだが、冷房も利いていて、鏡やドライヤーもあって気遣いが嬉しい。



 そしてこの日の締めくくりは、大満足のディナー。門田というフレンチレストランは小ぢんまりと居心地良く、瀬戸内の幸を活かした優しい味の料理と、料理長自らがフロアに出て細かく気配りするもてなしが心に残り、久々に身も心もふわっと寛ぐ思いのディナータイムを過ごした。


 宿は結局メルパルクにキャンセルが出てこちらへ。リーズナブルな公共の宿ながら、部屋や調度は“ちゃち”かな。今度は旅館ふなやか、オールドイングランド山の手ホテル辺りに泊まってみたいな。