逸翁美術館へ



 今日は一日、雲ひとつない晴天。午前9時半から1時間ほど、烏丸丸太町近くで所用の後、地下鉄で四条へ出て阪急に乗り換え、桂で連れ合いと合流して池田へと向かった。目当ては逸翁美術館、阪急や東宝、そして宝塚などの創設者として知られる小林一三の収集した美術品を展示する美術館だ。
 Webに掲載されているアクセスマップをざっと見て、うろ覚えで歩いて行ったら、とんでもなく遠回りして旧館の前に出てしまった。ここには『22年春開館予定』との掲示のみで、新築移転された美術館への案内は無かったため、掲載されていた問い合わせ先に電話してやっと辿り着いた次第。
 聞けばここは昨年秋にオープンし、以降旧館は一三が住まいしていた頃の姿に戻すと共に、敷地内に資料館を整備中で、この春以降は一三の記念館としてオープンの予定だそうだ。
(下は昨年、国の有形文化財に登録された旧館「雅俗山荘」と美術館の看板)




 茶道の数寄者としても知られる一三だけに、茶道具をはじめとする陶磁器や漆芸品に関心があったのだが、現在開催中の企画展は呉春の白梅図屏風(重要文化財)を中心とした円山派や四条派の日本絵画で、陶磁器は特別展示として5点ほどの京焼が出ていたのみ。茶道具は、一隅に設えられたガラス張りの茶室に、昭和26年1月の茶会の室礼を再現してあったにとどまる。何といってもここの展示室は1室のみ……。これで1,000円の入館料はいかがなものか、と思案してしまった。
 

 ともあれ、新しいだけあって館内は洒落た造りになっている。洋風喫茶室の他、小ぢんまりした呈茶席も設けられ、また映画や演劇とも縁の深かった一三に因んでか、「マグノリア」という100席〜140席ほど設置できる貸ホールがあり、土日を中心にサロンコンサートも開かれている。


 帰路、商店街を抜けてきた。「落語ミュージアム」の幟が林立し、エコミュージアムがあり、阪急池田駅を挟んで反対側にはインスタントラーメン発明記念館があり、卓球の町づくりを推進中。旧逸翁美術館周辺は豪邸が目につく高級住宅地であり、あの付属池田小事件が起きた町。何だか種々雑多な印象……。古くは城を頂いた城下町ながら、街路が碁盤状に整備されてはいないため、地理的感覚を掴みづらい町でもある。そうそう、その五月山麓の池田城跡公園にも、機会があれば登ってみたいもの。また逸翁美術館の企画展が入れ替わる頃、立ち寄ってみることにしよう。。