佐紀路・佐保路の古刹と平城宮跡、頭塔までを自転車で!




 大荒れだった昨日とは打って変わって、穏やかな良いお天気。8時過ぎに家を出て、今日は奈良・佐保路方面へと出掛けることにした。
 大和西大寺で自転車を借りるのにちょっと手間取る。というのも、工事中でレンタサイクル西大寺センターというのが随分離れたところに移転していたため。案内も不十分で、探し回ったところ、駅南口から出てampmの見える南方面へしばらく行った先、郵便局の向こう側にあった。

 
 まずは北に向かい、秋篠寺を訪れる。参道は美しく苔生し、百連が今を盛りと咲き誇っている。ここはわが国唯一という伎芸天で有名な寺――天平の頭を抱くさすがの立ち姿が、実に優美であった。





 佐保路方面へ抜けるべく、平城宮跡を横断する。今年4月のオープンを目途に、整備工事も終盤である。



 


 次に目指したのは法華寺国分尼寺として開山された門跡寺院で、平安時代初期の製作とされる国宝の十一面観音が特別開帳中である。光背部に蓮葉があしらわれている珍しいお姿。小振りで引き締まった美しさが印象的。






 


 佐保路の寺はいずれも花の寺として名高い。どこも冬の名残の花と春先の花が咲き競い、美しく彩られていた。


 法華寺を出て道を廻り込んだ所に海龍王寺がある。奈良時代の様式を今に伝える稀な例として国宝に指定されている五重小塔と、金色に輝く美しい十一面観世音がことに有名だ。観音様の特別開帳は明日から。今は光背の全体像こそ見て取るのは難しいものの、左右に降ろされた錦の間からそのお姿は充分に拝観することができる。



 一条通りを東へ行くと、不退寺がある。在原業平所縁の寺だ。ここも平安時代中期と伝わる聖観世音菩薩がご本尊である。




 ここまでで佐紀路・佐保路巡りは一段落。不退寺の近くにある人気のスポット、「くるみの木 一条店」は、併設の雑貨店を覗くのも楽しいスポットながら、お昼を待つ人が思い思いに過ごしているという不思議な光景。その数たるや、半端なものではない。しばらく待ってみたものの入れる目途が立たなかったため、諦めて斜向かいにある「ムッシュおおつか」というレストランへ。ここは案外当たりだった。



 それからはひたすら一条通を東へ。途中垣間見えた聖武天皇陵は、川端の鳥居から続くアプローチの彼方に陵を望むことができ、隠れた美観ポイント。
 東大寺の転害門に突き当たり、南へ転じて春日大社の一の鳥居前を過ぎ、さらに南へ下がった後、少し東へ入ったところにある頭塔が最後の目的地だ。
 起源は奈良時代に遡るという階段状の土の塔である。ここはなかなかに面白い史跡なのだが、主だった寺社からは少し離れているせいか訪れる人も少なく、鍵は近所のお宅が保管している。もっと観光資源として広く周知すれば良いのに、と思われてならなかった。






 頭塔への途上、葛切で知られた「天極堂」で一休み。また、先般お休みで覗けなかったアメリカンアンティークの店、「MLPショップ」に立ち寄る。



 帰途、観光地として綺麗に整備された「ならまち」エリアを少し見て歩く。餅飯殿(もちいどの)センター街をちょっと横に入って立ち寄った「遊 中川本店」では、遷都1300年祭に因んだペットボトルカバーをお土産に購入。東向通を抜けて近鉄奈良駅隣の奈良自転車センターに辿りついたのは16時40分を回った頃だった(最長の17時まで借りておいて良かった)。
 18時ちょっと過ぎに自宅に帰還。自転車のお蔭でかなりの広範囲を効率よく廻ることができた。


 次に奈良入りできるのは、桜が終わった頃になるかなぁ……。奈良にはまだ行ったことのないエリアがたくさんある。これから何年か掛けて、ゆっくり見て回ろう、と話している。