千本釈迦堂、釘抜地蔵と西陣の町並み




 千本釈迦堂境内の御亀桜が見頃になっているというので、ゴルフから帰宅した連れ合いとぶらりと散歩に出た。
 桜は7〜8分咲きといったところ。枝垂れなのでソメイヨシノなどに較べれば開花時期が若干早いのだ。
 そしてこの日初めて本堂に上がり、霊宝殿に入った。近いとついつい“次の機会に”と思って先延ばししていたので。
 話に聞いていた通り、霊宝殿に並んでいる仏像の数々は、大層見応えのあるものばかりだった。定慶の作という六観音像や、快慶晩年の作という十大弟子像など、いずれも重文に列せられた仏像を間近に拝観。とりわけ6種の観音様がそれぞれ六道の特定の世界で救いの手を延べて下さる、というのは初めて知ったことで、興味深かった。因みに千手観音は餓鬼道、十一面観音は修羅道、人道は准胝観音である。


 釈迦堂を後にして、千本通まで出、北へ少し上がると東側に釘抜地蔵がある。正式名称石像寺、通称は「苦抜地蔵」から来ているそうだ。境内には大きな釘抜きを模った像がある。
 閉じられた本尊のお厨子からは五色の紐を撚り合わせた羂索が伸び、左方は宝珠に、右方は独鈷杵に結ばれている。お百度を踏む人の姿があった。それも3人。各々お堂を一回りする度に竹の棒で独鈷杵をチンチンと叩き、羂索を振ってから正面に回り、鐘を鳴らして手を合わせる。お堂周りは願が叶った人々の納めた額――中央に釘抜きが、左右に大きな金釘があしらわれた絵馬で一杯だ。




 祈りの場を静かに離れると、尚も北へと足を向けた。船岡山下まで出て、鞍馬口を東へ。この一角には名物「船岡温泉」と、やはり銭湯を改築した人気の「さらさ西陣」がある。後者はまたしても『18時まで貸し切り』で中を見ること叶わず。。




 大宮通りまで出て一気に南下し、笹屋町通から自宅へと帰還。ディープな西陣の散策は、いつも新しい発見があって面白いものだ。