自転車で巡る蹴鞠・曲水の宴・やすらい祭



 朝、少し雨がぱらつくが、10時頃には上がる。風邪や昨日の疲れもあって相当悩んだが、御所の春の特別公開は今日が最終日。蹴鞠の実演の2回目が11時からある。その後13時から上賀茂神社で曲水の宴、15時には今宮神社でやすらい祭とイベントが目白押しで、果たしてどこまで回れるか自信はなかったが、取り敢えず腹を括って家を出たのが10時20分過ぎのことである。
 

 御所までは10分強というところだろうか、思いのほか近い。大事を取って門を入った少し先の、他にも自転車が置いてある辺りに駐輪したのだが、観光客にも貸し自転車を使う向きが多いらしく、入場口となっていた宜秋門(ぎしゅうもん)近くにも多くの自転車が駐輪してあった。
 蹴鞠はメンバーの入場、開始の儀式の後、鞠改めに引き続いて実施される。1回の競技は15分程度、それを2回実演して終わる。大層な人垣で前列の人にはしゃがんでもらうようアナウンスが入るが、実演時間が案外長いため、前列の人が順次抜けてゆき、後半になると好きなところから写真が撮れる状況となった。





 実演終了が40分頃。それから御所を一回りし、頒布品のテントなど覗いて、御所を後にしたのは12時を回っていた。ここから上賀茂神社までは結構な距離である。場所取りも考えればなるべく早く会場に着きたい。迷いはあったが振り切って、ともかく自転車を走らせることにした。
 烏丸通を一路北へ。北大路の辺りから加茂街道に入り、歩道を見つけるのに苦慮しつつさらに北上。半木の道の枝垂れや河畔の桜に見とれながら、最後は東岸に渡って桜のトンネルを抜け、上賀茂神社へ。



 会場となる渉渓園に到着したのは13時ぎりぎり少し前。斎王代はじめ歌人の面々の行列と同時くらいに入場した。1,000円で赤いリボンと野点呈茶券など受け取り、玉の汗を拭いながら人垣の隙間を探す。前半分の椅子席は会員専用となっており、一般参加者はその後ろ、苔生す築山から遠目に臨むことになる。雨対策にテントが張られていたため見通しが悪く、カメラを構えた人々もポイントを探すのに苦労していた。
 さて、開宴の辞の後、斎王代から今年の歌題が披露されると、いよいよ宴の始まりだ。雅楽や箏楽の調べにのって杯がせせらぎに流され、童子が棹で操りながら歌詠み人の所へと誘う。歌人は一首詠むと杯を受け、次の歌人へとバトンが渡される。5名全てが詠み終わると神職が短冊を集め、冷泉家ゆかりの人々によって朗々と披講される。これが2セット繰り返され、都合5首が披講されて宴が終わる。








 宴の後、野点でお茶を一服いただき、時間は14時を少し回った頃。15時からの今宮神社での祭礼に向けて、今度は一路、西を目指す。
 北山通を大宮で折れ、ちょっと迷う。今宮神社には2度来ているのだが、どうも土地勘が培われない。2、3度曲がっているうちに今宮神社の東門、あぶり餅屋の辺りに出られた。
 やすらい祭では、拝殿に設置されている風流傘の中に入り、時計回りに一周した後、住所・氏名・満年齢を記載した人形(ひとがた)を納めて厄を払ってもらう。人形に挟まれている真っ赤な「蘇民将来子孫也」の札はお守りとして抜き取っておく。
 各町を練る練り衆たちが神社に入ってくる時間は15時頃とのことだったが、実際には15分程も早く「川上やすらい」の一行が戻ってきた。拝殿周囲をを時計回りに回り、随所で奉納舞を披露してまた町へと出ていく。次いで「上野やすらい」の一行が今度は拝殿を反時計回りに回り、奉納舞を披露した。








 今日の京都市中自転車旅もこれにてようやく全目的達成。北大路の西へ向かう登りに往生しつつ、船岡山を廻り込んだ時点でふと思いついて、「さらさ西陣」でコーヒーを一杯。ホッと一息衝いて16時過ぎに帰宅。
 昨日といい今日といい、京の春の風物詩をあれこれと身を以て体験することができ、満足、満足。。