法隆寺・中宮寺・法輪寺・法起寺



 雲ひとつない快晴! いつものようにコンビニでおにぎりを仕込み、今日は熱いお茶を入れた水筒も準備して、一路斑鳩を目指した。
 郡山で近鉄からJRに移動(この乗り換えはちょっと無理があった。。)、法隆寺の駅前で自転車を借りる。半日で500円は西大寺の半額だ。


 まずは法隆寺の門をくぐる。



 南大門から臨む西院伽藍。このひと気の無さ! これだけ天気の良い連休初日というのに、どうしたわけか法隆寺は人もまばらな状態。例年GWには金堂に入るのに行列で待ち時間が発生すると聞いていたのだが、見事に肩透かしを食らった気分だ。お蔭でゆっくり伽藍や仏像を拝観することができたが、閑散とした門前はいささか寂しい。皆、平城宮跡での1300年祭に向かったのだろうか……?


 さて、わが国最古の五重塔は、その初層に奈良時代初期に作られたとされる有名な塑像群がある。その保存状態の良いのには驚きだが、奥まっている上に金網越しのため、薄暗くて見づらかったのが残念。


 金堂では止利仏師作と伝わる国宝釈迦三尊像他にゆっくり対面。中央の釈迦三尊と、その左側に控える平安時代のものとされる吉祥天像の美しさに心を奪われる。お堂の中に座って見られる作りなら、長々と見とれてしまうことだろう。



 大宝蔵院では百済観音像に再会。このたおやかな中にも気品溢れるお方を前にして、連れが何やら耳打ち。「なんかね、『酒無くなった、金くれ〜』って言ってるみたいだね」。それは失礼極まるだろう! と思いつつ改めて眺めると、確かにそんな風情。後で聞けば、奈良博に展示されていた際の愛称は、他ならぬ『酒買い観音』だったとか。
 ここでは、他に数少ない檀像として知られる九面観音像や、有名な夢違観音像にもじっくり対面。


 さらにこの時期、「秘宝展」として大宝蔵殿での寺宝公開も行われていて、あまりに多くの仏像や寺宝の数々にすっかり圧倒される。記憶のキャパシティはとっくにオーバーしてしまい、奈良はつくづくスケールが違う、と痛感。何年か後に再訪する際には、感性に訴えて来るものも変わり、また新しい発見があることだろう。



 宝蔵殿を出た所には茶処やトイレ、喫煙所もあり、ここでささっとおにぎりを詰め込んでお茶で流し込んだ。
 東大門を潜って夢殿へ。
 それにしても陽射しの強いこと! 寒冷前線通過後の晴天なので気温はさほど上がらず過ごしやすかったが、砂利道や石畳に反射する光が強くて、サングラスしてくれば良かった、と思ったほど。





 救世観音像に対面。錦の布を覗き込むようにして拝見したお顔はふくよかで神々しい。


 そのまま隣接する中宮寺へと歩を進める。昭和に落慶したお堂周囲には折しも色鮮やかな山吹が満開となり、本尊如意輪観世音菩薩半跏像が静かに坐しておられた。



 さて、法隆寺入り口に駐輪した自転車を取りに戻り、北側に位置する法輪寺を目指す。



 ここには本尊、平安期の十一面観音菩薩立像をはじめとして、法隆寺百済観音像にも良く似た伝・虚空蔵菩薩立像など、見応えのある重文級の仏像が並んでおられる。祭壇の裏側にも通路があり、仏像を裏側からも見られるのが良い。愛用の双眼鏡を駆使し、光背に開けられた窓から十一面様の後ろのお顔、「暴悪大笑面」も確認。。
 国宝だった三重塔は惜しくも落雷で焼失し、昭和になって再建された。



 法輪寺から東へしばらく行った所に法起寺がある。こちらにも重文の十一面様がおられるが、収蔵庫は前面がガラス張りで反射がきつく、拝観しづらいのが難。しかし最古の三重塔が国宝に指定されており、静かな境内は小ぢんまりと居心地が良い。





 斑鳩の里はレンゲが咲き始め、春も爛漫。爽やかな風を受けてのサイクリングには絶好の日和であった。


 


【メモ】
①JRと近鉄の乗り換えはちょっと厄介。無理せず奈良駅でバス移動するか、最初からJRで行った方が楽かも。
斑鳩での自転車移動の際、柵もガードレールもない深い側溝の脇を、後ろから来る車に脅かされながら移動する場面もあり、注意が必要。
法隆寺茶所では無料のお茶がいただけるが、「お食事はご遠慮ください」になっている。本来なら境内を出ないとお弁当は広げられないムード。
法起寺には収蔵庫脇ではなく、境内の中に「写真撮影禁止」などと書かれた立て看板が。これって境内の写真もダメ、ってこと? 皆写真、撮ってましたけど。。